春。

俺もクロエもツルカも高等部に上がり、中等部部員には必須だったサンバイザーとはおさらばが出来た。

後輩からは散々惜しまれ、せめてサンバイザーをくださいと泣きつかれたので、俺のサンバイザーは四代目部長に引き継がれた。



もうあの頃とは違かった。

孤児院から出てきた少年少女ではなく、中等部から上がってきた青少年である俺とクロエは、もうこの門を潜った後の光景に、驚いたりはしない。

俺達も、その光景の一部になっていたからだ。顔見知りが何人もいて、もう、疎外感を感じることはない。

俺たちは高等部の門を潜る。

緑も混じる桜の花びらが風であちこちに飛び散り、クロエの髪についている花びらを取ってやっていると。



「ヌシャ(お前)、スピードミントン部入りなっせ」



既視感。

振り向く先には、やはりハジメが用紙を持って立っていた。


「こういうもんばい」


と、またいつだかと似たように、自分の名前が刺繍されたユニフォームを見せた。


「早速部員集めか?」

「おう。また、力ば貸してくれるとやろ?」

「条件があるな」

「マネージャーだろ。もう許可貰わんでも良かこつやね」

「じゃあ入部する」

「今年もよろしくね、ハージメちゃんッ」


クロエが横から顔を出して、三人で談笑しながら校内へと歩く。

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