それから数日。

俺達は志士頭で授業を終えると、皆して部活そっちのけでゲンキの家に通い、皆で練り切り作りをした。

ゲンキが一人、病院に行っている間にも、作り方を覚えた俺達はそれぞれ練り切りを作る。

翌朝までゲンキの家に皆で泊まり、早朝になると、朝練と言うことで、ゲンキを抜いた部員全員で、走って志士頭まで帰った。

途中、バテてしまったクロエを負ぶって走るのが俺の日課だった。



そんな日々が続いたある日。

俺は一人、ゲンキの婆ちゃんがいる病院へと訪れていた。

婆ちゃんが倒れたと言う報せを聞いた時、そう言えば、ちゃんと挨拶をしていなかったと思ったのが一つ。

俺も婆ちゃんに和菓子を送るので、その前に初対面をきちんと果たしておこうと思ったのが二つ。

受付の人に見舞いに来たことを告げ、病室の番号を教えて貰って、階段を登った。

病院のリノリウムの床を踏む度に、なんだか寒くなる気がした。

病院って、やっぱり寒い感じがするんだよなあ。

ここで朝、昼、夜を過ごすって、結構寂しいんじゃないのかなあ。


婆ちゃんの病室がある階に着き、病室の番号と、婆ちゃんの名札を探す。

いくつか部屋を通り過ぎて、花冠(ハナサカ)の苗字を見つけた。

ノックをすると、年配の女性の、掠れて、弱々しくて、優しい声が聞こえた。

スライドドアをゆっくりと引き、入室する前に、頭を下げて挨拶をした。

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