俺とクロエは寮を出て、そのボロアパート二階―――赤錆塗れの階段の向こうの部屋で二人暮らしを始めるようになった。

クロエの母ちゃんにも事前報告をした。

お金に困ってクロエが不自由になったら、すぐに寮生活に戻すと言う条件付きだった。

"まだ学生の内でのことだから、そんなに長続きしなくてもいいの。一年もてば充分立派な方だから。…でも、貴方を信じたいから、どうか頑張って、クロエと一緒にいてあげてね"

大して期待はされていない。

期待なんか求めてない。


俺とクロエは荷物をまとめ、爺ちゃん先生に挨拶して、寮を出た。


バイトで作った貯金と、学生生活が終わるまでの間続く、孤児院からの援助のお金で、俺とクロエは生活を始めた。

朝起きると、並んでいた二組の布団を畳んで、部屋の隅にかけられた木製の折りたたみテーブルを広げて、居間兼寝室の部屋を居間仕様に変更させる。

クロエはキビキビと動き始め、洗面所に立って顔を洗うと、台所に立つ。

冷蔵庫を開けて、昨日作ったサラダの残りを出して、卵もいくつか取り出す。

食パンをトースターに突っ込んでスイッチを入れる。

ヤカンに水を張り、火にかけた。


俺はその光景を横目に、目を擦って洗面所へと歩いた。

二本ある内の一本の歯ブラシを手に取り、歯磨き粉を塗って口に突っ込む。

この作品のキーワード
学園  恋愛  部活  ファンタジー  日常  高校生 

感想ノートに書き込むためには会員登録及びログインが必要です。