心当たりを探ると、すぐにハジメから貰ったパウチが思い浮かぶ。

"ヌシャの問題は俺が見てやる"

………………マジかよ、ハジメ。

お前、最高じゃないか。

クロエとの問題は何一つ解決していないが、自然と顔がニヤケた。

施設の前で目を覚ました時から俺のトラウマとして、俺自身として在り続けるこの黒ずみが、こうして元に戻った。

完全回復では無いにしろ、あともうひと袋ある。

これを飲めば、……"俺はただの人間になれるのでは?"

希望が生まれた瞬間だった。

すぐにでもまたジェルを飲んでやろうと手を伸ばしかけて、時間がないのと、"寝る直前以外は飲むな"と言うハジメからの忠告を受けたのを思い出して、俺は何もせずに朝練へと向かった。


グラウンドにはもう部員全員が集まっていて、俺はその輪に混じり、ハジメとまずストレッチを開始する。

前屈でハジメの背中を押している間に、パウチのことを聞き出すことにした。


「ハジメ、あのパウチなんだけど」

「おお、飲んだか?」

「飲んだ」

「どぎゃん味がした?」


そんな話がしたいんじゃないんだけれど。


「……無味無臭。でも、ちょっと苦いような甘いような、変な感じ」

「そうけそうけ。ほんで?効果はあったか?」

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