クロちゃんにとってのアウンはね、たった数年しかまだ一緒に生きてないあたしにとってのお兄ちゃんよりずっと、もっともっと大きな存在だと思うよ。


「だから、お母さんかアウンか、なんて、天秤にかけられるものじゃないんだよ。クロちゃんはお母さんかアウンかって言われたら、絶対迷わずアウンのところに行くような子だよ。でも、アウンがそれを拒んでちゃ、クロちゃんは近寄れないんだよ」

「………」

「クロちゃんをテリトリーから追っ払ったのはあんたよ!」


何かが崩壊してゆくような音が聞こえた。

そんな気がした。

それは誤解と言う壁だろうか。



「っ」


次に、椅子が倒れる音がした。

俺の足元で、ひっくり返ってる椅子があった。

俺が立ち上がった所為だった。

次に扉が開け放たれた音がした。

教室の扉が乱暴に開かれて、壁に衝突した音だ。

俺が教室を飛び出した所為だった。



最後に、何かが崩壊してゆくような音が、ずっとしていた。

クロエとの関係に勝手に壁を隔てて、その壁を今、また勝手に壊そうとしている。

身勝手だ。自己中心的だ。


全部俺の所為だった。

この作品のキーワード
学園  恋愛  部活  ファンタジー  日常  高校生 

感想ノートに書き込むためには会員登録及びログインが必要です。