――…暑いっ…!


車から降りてマンションのホールへ入るなりパタパタと自分の顔を煽いだ。



――…耳から火が出そう…。


季節は真冬だというのに私が真っ赤になって熱いのは隣を歩く人がベンツの中でしたことのせい。



「――今日は少し暖かいか」


でもいつものように漆黒の瞳は愉しげに私を見下ろして。



「…そうです、けど…」


実際昨日よりも寒くない今日に、その瞳へ渋々頷く。



「――着替えてきます」


うちの玄関を入ると藤堂さんの顔を見もせず着替えを置いてある部屋へと駆け込んだ。



――…あんなのぜったい無理っ。


会社からの帰りのベンツの中で私の耳へとつけられた藤堂さんの唇は、ただ触れただけでなく、違うものも連れてきて。



――…どっちもほんの一瞬だったけど…。


それは、カリッと当てられた歯と、柔らかく濡れた舌の感触。

おかげで体温が上がったのはもちろんのこと、身体が痺れたように動かなくなってしまった。



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溺愛  激甘  社長  イケメン 

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