シルビア
第4章
◆「泣きたくなる」
本当は、気付いていた。
心の奥底にぎゅっと隠して、押しつぶしていた想い。
いくら『違う』と、『そうじゃない』と否定をしても、変わることのない気持ち。
だって、認めたところでどうしたらいいかが分からないの。
抱えた気持ちを伝えたら、なにか変わる?
……ううん、きっと変わらない。
望にとって私は、もう過去の人。だから他人のふりをして、近いようで遠い距離をとる。
いっそのこと、大嫌いになれたらいいのに。
ちょっとやそっとじゃ揺らがないくらい、嫌いよりもっと嫌いな、大嫌いになれたら。
嫌いになりたい
大嫌いになりたい
そう願う度に、自分の本当の気持ちを思い知る。
痛いくらいの、気持ちを。