シルビア

◆「誓います」








僕の身体は、“線香花火”だ。

必死に光って、いつ落ちるか、もしかしたら落ちないか、その行方に心を動揺させる日々。



その始まりは、17歳。高校2年生の頃のことだった。



学校の健康診断で行われた心電図検査に引っかかり、行った病院。

そこで病名を告げられた瞬間が、俺とその病気の始まりだった。



『ー……病、ですね』



聞いたこともないような、知らない病気。

意味も分からずただ話を聞くしかない俺に、目の前の眼鏡をかけた医者は真剣な顔でひとつひとつを説明した。



肺、目、心臓、神経など、ありとあらゆる臓器に病巣をつくる病気であること。

原因は不明、ほとんどが症状は軽く、自然治癒か現状維持のまま支障なく生活ができること。

今の段階では特別治療することはなく、経過観察をしたうえで、進行する、またはそれが予測できるほどにならなければできないこと。



言われてみれば、視界が霧がかっているように見えたり、時折息苦しさを感じたりとこれまで気付かなかったことが症状だったのだと気付いた。

だけど正直、生活に支障はなかったし。きっと自分もほとんどの人と同じ、軽いほうなのだろうと楽観的に考えたりして。

想像される嫌な未来は、極力見ないようにした。



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