気まぐれ猫系御曹司に振り回されて
「え?」
「ショコラ・レーヴに蕩けてるの。男性じゃなくてトリュフに溺れてる。そんな恥ずかしい女なの。もうこれ以上剥がせる化けの皮はないから、私のことは放っておいて」

 クール・ビューティなんて嘘。その下に隠れていた子どもっぽい女は、もっと子どもっぽい秘密を抱えていた。

 透也の表情を見るのが怖くて、凜香は黙って車から降りた。

(幻滅、されちゃったよね)

 追いかけてきてくれないことがそれを表しているようで、凜香は胸がつぶれるような思いでマンションに入った。 
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