色々な恋愛覗いていきませんか?*短編詰め合わせ。
片想い男子。




「いらっしゃいませぇー…って、はぁっ⁉︎」





バイト先のドアに付いている鈴がカランコロンと音を立てたから、営業スマイルで振り向けばそこにいたのは、





「やっほぉーユリちゃん」


「…寺田ユウ」





やだなー、一応俺先輩だよ?と、ケタケタ笑った寺田ユウ。




「先輩と思ったことは一度もないですから」






寺田ユウを無視して次のお客が来ないか入り口を見ながら待つ。




「ユリちゃんのいけずぅ〜」



ぶーっと頬を膨らませていじける寺田ユウを他の店員が席に案内する。



あたしのバイト先はファミレスで、学校の人と会わないために、高校から遠い所を選んだんだけどな…。




ピンポーンと呼び鈴が鳴ったので番号を確認して、その席に行けばいかにも柄の悪そうな男の三人組が。





「お待たせいたしました。
ご注文をどう、」


「うわぁ、この店員かわいくね?」

「まじじゃん!」

「お姉さんこの後俺たちと遊ばね?」




あたしの声を遮り、ぎゃあぎゃあ騒いでる三人を冷めた目で見ていると、そのうちの一人にいきなり手を掴まれた。





「ちょっ⁉︎」


「やめろよ」




掴まれてない方の手を後ろから掴まれたと思ったら、寺田ユウの声が後ろから聞こえた。




「んだよコイツ」

「お姉さんは俺らと遊ぶんだよ」

「離せよ!」






未だにぎゃあぎゃあ騒いでる三人を寺田ユウは冷めた目で見つめると、あたしの身体を自分の方に引っ張った。




「なにす、」


「この子は俺のだから。




勝手に触ってんじゃねぇよ。
バーカ」






そう言ってあたしの唇に寺田ユウのそれをくっつけてから、リップ音をさせて離れた。






そんな寺田ユウを見やれば、挑発的な顔で三人組を見ていた。




fin.
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