都合のわるい女
タカハシが俺から離れない理由。






タカハシが俺から離れない理由。









あれから、2週間。


タカハシには、一度も会っていない。



一日に何件も来ていたラインが、まったく来なくなった。


俺がラインを送っても、わざとらしく既読スルー。



前はキャンパスの中で、一日に一度はすれ違って(正確には俺が背後から襲われて)いたのに、今はなぜだか全く出会わない。



これはもう、避けられているとしか思えないわけで。



「………どういうことなんだよ……」



講義室の机に伏せて呟く俺に、吉岡が「さあねぇ」と適当なあいづちを打つ。



「ひでえ、他人事だと思って」


「他人事だもん」


「友達甲斐のない奴だな」


「つまり、利用されるだけ利用されて、飽きられたってことだろ?」



吉岡は平然とした表情を装っているつもりらしいが、口許に浮かんだにやにや笑いは隠しきれていないわけで。




< 57 / 80 >

この作品をシェア

pagetop