リナリアの王女
第四章:お気に入りの場所、突然のお茶会、私に出来る事
 実際に来てみたバラ園は私が想像する以上のものだった。

色とりどりのバラが綺麗にその花を咲かせており、アーチを進んで行くとそこには可愛らしいテーブルと椅子があった。

『お茶の準備を致しますので、エリーゼ様はここでお待ちいただけますか?』
私がその様々なバラに見惚れているとサラちゃんが椅子を引きながら聞いてきた。
「分かったわ。サラちゃんの分も用意してきてね」
人に用意してもらうのは慣れないが、立場上私が慣れるしかないと思う。

せっかくのお茶会だ。私一人で飲むよりサラちゃんと一緒に飲みたい。

『私がエリーゼ様と一緒にお茶を飲むというのは・・・』
サラちゃんが困り顔になってしまった。
「誰か来たら、私が無理矢理一緒に飲むように頼んだって言うから」
実際にそうなのだから、誰か来たとしても私がしっかりとそう言えば良いのだ。
『畏まりました。では少々お待ち下さいませ』
サラちゃんは私のお願いを聞いてくれてお茶の準備に行った。




「それにしても本当に素敵・・・」




ここなら何時間でもいられるだろう。
思わずぽつりと独り言が零れ落ちてしまった。
詳しくは知らないが、このバラ園にあるバラは、色とりどりなだけではなく、形も大きさも様々なものだった。
ここまで成長し綺麗に花を咲かせるようになるにはかなりの年月と労力、そして花に対する愛情が必要となるだろう。








「気に入ってくれたようで嬉しいよ」









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