イジワル婚約者と花嫁契約
プロローグ
「灯里は本当に笑顔が似合うな」

そう言って目尻に皺を沢山作って笑うパパの顔が大好きだった。

「灯里はあなたにそっくりよね」

パパの笑顔につられるよう、嬉しそうに微笑むママの顔は、もっと好きだった。

ふたりが笑ってくれるから、私はいつでも笑顔でいよう。
だってみんなで笑って過ごせる毎日が、私にとってなにより幸せなことだったから――……。


たったひとつの幸せだった。

その幸せはある日急に、崩れていってしまったんだ。


多くのことなんて望んでいなかった。
どんなに貧しくても、パパとママがいればそれだけでよかった。

なのに、どうしてそんな願いさえも神様は叶えてくれなかったのだろう。
< 1 / 325 >

この作品をシェア

pagetop