俺は白衣のポケットに手を突っ込んだ。

彼女を見下ろす。

何故か笑いがこぼれそうな彼女の表情。

その顔をもう少し眺めていたいと思ったが、もうこのままここに俺が居る理由はない。

少し歩みを進めた後、何かを思い出したように俺は振り返った。

「もしかしたら、新田さんとは何か縁があるかもしれませんね。そうそう、山本先生にもよろしくお伝え下さい。」

そして医局へ向かって歩いて行く。

一瞬不思議そうな顔をした彼女。

でも丁寧に俺に頭を下げた。

そして安心したようにもう一度微笑んだ。

間違いない。

あの人だ。

それにしても、何で俺は縁なんて言葉を使ったんだろう。

何か彼女に俺の印象を残しておきたかったのかもしれない。

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