悪い連中とも連絡は取らなかった。

数回、店にまで来て
絡まれたが、
店長が店から追い出してくれた。

今でも、しっかり覚えている。


「君たちから離れたということは、
もう付き合わないという意味です。
今まで仲良くしてくれてありがとう。
でも、もう新は夜に出歩かない。
ちゃんと闘ってるんです。」

店長は、連中にそう言った。

「は?わけわかんねーよ。
俺らケーキ買いにきただけだしー。」
「俺ら何にもしてねーし。ムカつくなー。ムカつくから、お返しね!」
がんっ!!
そう言って、店の前にある
看板を蹴った。

「あーらーたーくん!!
つか、そんな簡単に抜けさせねーからな。
出てこないならお店であばれちゃおっかなー。」
一人の男がそう言って、
店のドアを開けた。


ばん!!
がっしゃーーん!!


ガラスが割れる音がして
思わず、俺は売り場に飛び出した。


「店なんか、いくらでも壊しなさい。」

ドアのガラスを素手で殴った
店長がそこに立っていた。

ドアを持っていた男は、
それを目の前で見たのだろう。

呆然と固まっていた。


「その代わりに、
息子に手出したら、
私が君たちを殺します。」

店長は、そう言った。
きっと笑顔に違いない。

凛とした背中を
俺を息子と言ったことを
俺は決して忘れないと思った。

店長は、振り返り、
泣きじゃくる俺の頭を撫でた。

もう片方の手は、
ガラスで血まみれだった。


パティシエなのに。


手はめちゃくちゃ大事なのに。


俺は馬鹿だ。
何が迷惑かけない、だ。

すげーかけてるじゃん。


俺は悔しくて、
嗚咽を漏らして泣いた。


「息子のやんちゃの尻ぬぐいするのが
親の仕事なんですよ。」

スタッフが心配するのを他所に、
店長は、ふっと笑うだけだった。


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