「――ああ、変わりない」


シェーズロングに凭れ、話しているのは電源を切っていたはずの携帯。



「どうだ?上手くいってるか?――…」


そして話す相手は、9,800kmの彼方、日本にいる博人。



「――…そういう事であればそのまま進めて構わない。……ん?彼女なら今は魚と追いかけっこ中だ」


波打ち際のちょっと先で、膝下まで水に浸かり水面を覗き込む美智子へと目をやった。



「またこちらから電話する―――」



――セイシェルに来て4日が過ぎ、ようやく緊張が解けた様子の美智子。


今回の旅行は彼女にとって初めての海外、ドバイでのホテルのオープニングセレモニーを経てこのセイシェルへ来ての結婚式。

これらの事が彼女にとってどれほどのプレッシャーかは容易に想像出来て。



「……」



――…無理をさせるのは最初からわかっていたことだ。


それを百も承知で連れてきた自分に呆れるしかない。



――…だが、文句も愚痴も彼女の口から聞いたことはない。



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溺愛  イケメン  甘々  社長 

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