~SPの彼に守られて~
◇episode05
 目が覚めて身体を起こして腕を天井に向けて伸びをするけど、寝れた筈なのに気だるさが残っている感じがする。

 夜中に走ったり、バイクで逃げたりしていたせいで身体も気も休まってないのが原因かな?

 ベットから降りて、旅行カバンの中から着替えを取り出して着替えるけれど、これから仕事なのに頭の思考回路がぼぅっとしていて、やる気スイッチが全然入らないや。

 メイクをするも辰巳さんのように上手にいかないし、朝食を食べているときも、鷹野さんと普通乗用車に乗ってからもぼんやりしちゃう。

 角井百貨店の近くの駐車場に普通乗用車が止まり、社員通用口までの鷹野さんの"同行警護"が始まった。

 昨日は帰りに尾行されていたけれど、まさか朝から襲ってくる可能性は無いよね?通りを歩くサラリーマンやOLを見ても、もしかしてこの中に?って思って、ずっと気が休まらないなぁ。

「よし」
「あまり寝れなかったのか?」

 もうすぐ社員通用口に着くし、切り替えのスイッチを入れるためにふぅっと息を吐いて、やる気スイッチを入れると、一歩前を歩く鷹野さんが顔だけこちらに振り向いて尋ねた。

「ちょっとだけ疲れが残っているかもしれませんが、寝れましたよ」
「………そっか」

 あまり心配をかけたくないから無理やり笑顔で答えると、鷹野さんは深く追求せずにまた顔を前に向けて歩きだした。

「吉野さん、おはよう。隣にいる人は?」
「龍崎さん、おはようございます。えっと、その…」

 社員通用口前で龍崎さんから声をかけられて、鷹野さんのことをどうやって紹介すればいいのかな?と鷹野さんを見上げてしまった。

「すいませんが、それはお答えすることは出来ません。千明、帰りにな」
「はい…、また連絡をしますね」

 鷹野さんは私との関係を龍崎さんには答えず、立ち去ってしまった。

 SPですって言ってしまえば追いかけられたところから話さないといけないし、SPと依頼主の関係って他の人には話せないのが難しいな。
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