懺悔部屋~脱出法は仲間を傷つけ食べること~
そして俺の前に立っている……山岡悠も、笑った。


1番最初の部屋で死んだはずの悠。


だけど違った。


悠が食べた卵焼きには微量の毒しか入っておらず、一時的に気を失っていただけなのだ。


俺はそれを知っていた。


そして、この建物を用意したのが悠であることも、俺は最初からすべて知っていた。


スピーカーから聞こえてくるあの女の声は機械を通した悠の声だったのだ。


ステージ1で気絶した悠は数分後には目を覚まし、服の中に隠していたマイクを通して指示を出していた。



みんなが次の部屋に移動してからは、あらかじめ隠されていたカメラを取り出し、それに映し出される俺たちの映像を見ながら指示を出していたのだ。



鍵の開閉も、ボタン1つで簡単にできるものだった。



そのかわり、悠の死体を確認する者がいればマイクに気づかれ、計画は流れてしまう。



それを阻止するため、悠は自分にもリスクを負わせることにした。



それが最初の目玉焼きだ。



ステージ1の目玉焼きで、悠の目玉は片方のみをくりぬかれるハズだったのだ。



目玉のない死体なんて、気味が悪くて誰も近づかない。


そうやってみんなを自分から遠ざける予定でいた。



彗があそこで自分の目玉をくりぬいたのは予想外だったが、両目をくりぬかせる事で見事死に追いやることもでき、結果的に誰も悠の死体には近づかなかった。



すべて悠が機転をきかせたおかげだ。
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