天才少女は嘘をつく。
転校生
 世の中の不平等さを知ったのは小学生の時だった。

わたしの家は言ってしまえば裕福だった。必要な物なら何でも手に入り、その中で要らないものは要らないとゴミ箱に捨てた。

 それは子供も同じで、わたしには姉が1人居た。彼女はほどほどに美しく、ほどほどに頭が良く、ほどほどに物事をこなす一般的な少女だった。
もしもこれでわたしが普通の子だったなら、その子もわたしも同じように接されたのだろう。

 しかし神様は残酷なもので、妹の方が姉よりも勝っていた。全て、というわけではなかったが。

 この世界には勝ち組と負け組があり、それで人生が変わってしまうのだとすれば、わたしの家はその縮図だった。
 勝ったわたしは大切に育てられ、負けた姉は捨てられたのだ。

 勝ち負けを決めたのは並外れた才能だった。姉の方が頭が良かった、運動ができた、何でも出来た。でもそれは意味がないことだった。

 何でも出来ても特筆する才能がなくては意味がない。
 そしてその才能を持つ人間を人はこう呼ぶ。

 






____________天才と。


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