【完】すき、好き、大スキ。

鈍感




手が繋がれたまま
着いた先は璃久の部屋で。

部屋で手を繋いだまま
黙って立ってる姿が何だかマヌケに思えた。



だけど


それよりも何も発さない璃久に
どんどん不安は積もっていく。



何で、あの場で帰ったんだろう。

何で、あの場であたしを選んだんだろう。

何で、何も言わない……んだろう。



考えても考えても。



気付けば悪い方向へと向かってしまう。



だって、彼女なのに尾行してさ。

彼女なのに、ダサイところ見せちゃってさ。

彼女なのに……年下に嫉妬してる。



璃久が女の子と2人で出かけるのさえ、嫌。

それが後藤さんだから尚更、嫌。


嫌で嫌で嫌で嫌で、嫌で溜まんなくなって。


気付けば嘘で固めたあたしは
格好悪いだけだった。




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