死神のお仕事

新たな死神





端末でスキャンして、データを送信する。


よし…これで今日の分は終了っと。


来る時に使った扉まで戻ると、辺りに人が居ないのを確認していつも通りの手順で空間を繋いだ。もうここまでの一連の流れは手馴れたもので…つまり、今ではすっかり回収作業も私の仕事の一つになっている訳で。


「只今戻りましたー」


リビングに入るなり、いつも通りに居るはずのサエキさんに声を掛ける。

確か回収に出る前、今日はすごく忙しいって言ってたから、もう少し手伝ってあげた方が良いかもしれない…なんて思って指示を扇ごうとした矢先、てっきりパソコンと向き合っているものだとばかり思ってた彼の思いもよらない姿に驚いた。


「…サエキさん?」


…というか、呆れた。


「ちょっと!ぐーたらしてる場合ですか!」


入ってすぐにある目の前のソファの上、目に入ったのは、ぐたーっともたれかかってピクリともしないサエキさんの姿。

手が回らないからと、事務作業中に急遽回された回収作業だったというのにだ。あれだけ忙しいからと言っていたというのにだ。あれ?どういう事?このどこが忙しい?このどこが手が回らない?

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