俺様常務の甘い策略
私が会社から藤堂の家までどう行ったのかも全く記憶にない。

夏海ちゃんにそっと聞きたいけど、田中さんがずっと秘書室にいて聞くに聞けないし……。

私って……今思えば昔からケーキに弱かったんだなあ。

ああ~、しばらくケーキとお酒は控えよう。

ハーッと深い溜め息をつくと、重い気分を変えるために髪をバレッタで一つにまとめた。

昨夜の私の失態が取り消せたらどんなにいいだろう。過去に戻れるなら、何でもする。

今朝は、藤堂がシャワーを浴びてそれで終わりではなかった。私の不運はあれからまだ続いた。





藤堂がシャワーを浴びている間、私はハンガーに綺麗にかけてあった自分の服に気づいて素早く着替えた。

「あ~、このまま逃げて帰りたい。バッグがなくてもアパートの鍵は隠してあるから家に入れるけど……電車賃がない」

私って……ほんと馬鹿。

昨日の自分に反省して正座をしてじっと待つ事十分。藤堂がスーツ姿で現れた。

常に完璧なその出で立ち。髪が乱れていようが、上半身裸だろうが、藤堂の姿は映画のワンシーンのように綺麗で悔しいけど見惚れてしまう。
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