俺様常務の甘い策略
13、悪魔のお願い
いつも土日はたまに目覚まし時計を眺めながら大抵昼過ぎまで寝ている。独身者の特権だ。

一度目が覚めて二度寝しようとしたけど、ここが藤堂の家だというのを思い出し、パッと飛び起きた。

見覚えのある部屋。そう……昨日の朝目覚めた藤堂のベッド。

「……何でここで寝てるわけ?」

部屋には藤堂の姿はない。

自分の着衣を確認すれば、服は昨日着替えた部屋着のままで、多少シワにはなっている程度。

朝の五時まで部屋の片付けに没頭していたのだけど……。

私が夢遊病者のように藤堂の寝室に入ったって事はないから、きっとあいつがここまで運んだのだろう。

「……余計な事を……」

ボソッと呟きながら、あいつの事を考える。

昨日は藤堂の事を考えたくなくて、荷物整理に集中した。

だって……あいつが私の事を好きだって認めるとは思わなかったし、大学時代のあの酷い言葉は私を守るためだとわかって私の頭は混乱してたから。
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