俺様常務の甘い策略
今まで結婚を希望する真面目な男性には巡り会えなかったけど、今日こそここでお金持ちの未来の旦那様が見つかるかもしれない。

期待に胸が膨らむ。

「はは。なかなか出会いがないからね。沙羅さんのような素敵な人に出会えて嬉しいよ」

田口さんが私の目を見て微笑する。

目は一重であっさり顔。背は百七十五センチくらいで美形とは言えないが、合格ラインギリギリといったところだろう。

毎日顔を見るなら、やっぱりイケメンがいい。

もっといい優良物件が他にいるはずだ。

「私もです。お腹が空いたのでちょっと何か探してきますね」

私は作り笑いを浮かべると、この場を離れた。

彼にずっと時間を割くわけにはいかない。

ええと~、優良物件、優良物件……。

私はキョロキョロと辺りを見渡す。

イケメンでお金持ってそうな人いないかな。

フルーツ盛りの前に背の高い男性が立っていて、私はすかさず彼に近寄り声をかける。
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