「沙羅先輩……なんか殺気立ってますね」

メールの処理をしながら、夏海ちゃんが私に恐る恐る話しかける。

「今日、私の天敵がうちの会社にやって来たせいで、私の仕事が倍になったのよ。これから毎日あいつと顔を合わせるかと思うと憂鬱だわ」

ガタガタ、ガタガタ、バシャン。

八つ当たりするようにパソコンのキーボードを叩く。

私は藤堂に頼まれた資料を作りながら、一人荒れていた。

私の横では仕事がなくて暇なのか、田中さんがネットをのんびり見ながら優雅にハーブティーを飲んでいる。

苛立たしいこの状況。

私、あなたの分の仕事までしてるのよ!

大声で叫んでも、きっと田中さんは何とも思わない。

自分が楽に過ごせれば、他人はどうでもいい。彼女はそういう性格だ。

「天敵って常務の事ですよね?イケメンだし、優しそうですけど」