俺様常務の甘い策略
そう。藤堂が今日やって来たせいで、社内は大騒ぎ。女子社員に至っては独身貴族の奴に色めき立っている。

まあ、無駄にイケメンだし、社長の孫で将来の社長だし、玉の輿を狙う女子社員にとっては格好の獲物だもんね。

悪い女の餌食にでもなればいいのに……。

「あいつはね、私が学生時代どんなに頑張っても勝てなかった相手なの。凄く腹黒いんだから」

「藤堂常務の方が何枚も上手だったって事じゃないですか?あっ、このネックレス可愛い!」

ブランドのアクセサリーでも見ていたのか、田中さんがパソコンの画面を見てはしゃぐ。

そんな田中さんを睨み、私はちゃんと仕事をしろと無言の圧力をかけた。

これで彼女とあまりお給料が変わらないのだから、やってられない。

つくづく世の中というものは不公平に出来ているのだ。

「沙羅先輩でも勝てないって事はよっぽど凄い人なんですね。でも、そんな異性のライバルがいるって羨ましいな。お互い対等じゃないですか」

目をキラキラと輝かせながら夏海ちゃんが私を見る。
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