俺様常務の甘い策略
「はい、はい。でも、秋月、飲むのも程ほどにね。警告はしたよ」

「もう二十八なのよ。その辺にいるお嬢ちゃんとは違うわ。酒の飲み方くらいわかってるわよ!」

ワイングラスをグイッとあおり、ゴクゴクと喉を鳴らしながら一気に流し込む。

ああ、変に緊張したのか凄く喉が渇く。

何度も藤堂にワインを注がせ水かと思うくらい浴びるようにワインを飲み干す。

自分の許容量なんてすぐに超えていたのに、私は半ば自棄になってワインのボトルを一本開けた。

「もっと……」

酩酊状態で椅子からふらふらと立ち上がるが、上手く立てなくて側にいた藤堂に抱き抱えられた。

「ワインもうないの?」

「秋月が全部飲んじゃったよ」

藤堂の面白そうな声が耳に届く。

「じゃあ、もう寝る」

そう宣言して藤堂の首に腕を絡め彼の胸に寄りかかると、彼は一瞬息を飲んだ。

でも、そんな事はどうでもいい。早く寝たい。眠くて堪らない。

温かいし、これはなかなか気持ちのいいベッドだ。これなら、すぐに寝れそう。

「おやすみなさい」

私は藤堂の胸に頬擦りする。

「誰がわかってるって?秋月、起きたらお説教だよ」

藤堂が私の顔を見て黒い笑みを浮かべていたなんて知らない。

酒は酔っている間は全てを忘れられていい。でも、酔いが覚めるとみんな飲み過ぎた自分を呪いたくなるものだ。

私も例外ではない。

次の朝目覚めると、私には怖い現実が待っていた。
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