カフェには黒豹と王子様がいます
第十四章  妄想の二人
第十四章 妄想の二人


マスターが店に戻って、平和な日々が続いていた。


その日も、徳永先輩が早番で、帰る用意をしていた。

 黒いロングエプロンのひもをほどきながら、小野田先輩と話をしている。


「西口、だいぶ慣れたよね」

「ああ。お客様の気持ち考えられるようになったな」

「動けるようにもなったしね」


 時々聞こえてくる「西口……」という声。

 私は聞こえないふりして仕事をしていた。

 でも、気になる。

 何?なんの話してるの??


「小野田さあ、西口のこと好きなの?」

「な、な、何言ってんだ!」

「ほら、そうやってすぐ動揺する」

「と、徳永はどうなんだよ」

「僕?僕は好きだよ。西口。素直でかわいいし」

「……お前ってほんとに本心読めねえヤツ」

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