カフェには黒豹と王子様がいます
第八章 二人への気持ち
第八章二人への気持ち


 あの事件からしばらくバイトを休んだ。

 マスターがそうしていいよと言ってくれたのだ。

 でも私は、五人の高校生のことより、先輩たちとどんな顔して会えばいいのかわからない、という思いの方が強かった。
 

 徳永先輩の優しい腕の感触。思い出しただけで胸がぎゅっと苦しくなる。

 そんな私たちの姿を見た時の、小野田先輩はどう思ったんだろう。

 こんなことを考えているのは私だけかもしれない。モテそうな先輩たちだもん、ただ、私の震えを抑えるために抱きしめてくれただけ。そのことに何の意味もないのかもしれない。
 
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