カフェには黒豹と王子様がいます
第二章 二人の出来る男
第二章 二人の出来る男

 次の日、私も小野田先輩みたいに三本指でトレンチを持って、徳永先輩みたいにダスターを中指に挟んだ。

 ……つもりだった。

 三本の指でバランスをとるのが難しい。トレンチをなんとか、持つ練習をしていると下に落としてしまった。

 クワワワワワ……ン

 トレンチの音がフロアに鳴り響く。

「失礼いたしました」

 小野田先輩と徳永先輩が同時に声をあげた。

そして鬼のような顔でこっちに向かってくる、小野田先輩。

「す、すいません!」

「その持ち方、お前には百年早い!」

 トレンチを取り上げられ、持ち方をなおされた。
 
 掌にべったりとくっつけたトレンチ。ダスターはトレンチの上に置かれ、まあ、安定はしているが、どこかかっこ悪い。
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