タイムトラベラー・キス

あなたに伝えたい。


時の流れは川の流れのように速く、あっという間に7月7日の前日になってしまった。


「……じゃあ、行ってくるな。戸締り気を付けるんだぞ」


「分かってるよ、行ってらっしゃい」


雪は、会社用のカバンとキャリーケースを持って出かけて行った。
今日は仕事に行って、そのまま会社の人と一緒に出張に行く予定のようだ。


結局、あれから7月7日の話は出来ないままになってしまった。
17歳の私でも、仕事が理由だったらどうしようもない、というのは分かる。


理子も”こればっかりはどうしようもないから竜見とキスするしかない”と言っていた。


竜見くんはスケジュール通りに東京に来ていて、明日の夕方も予定を空けてくれているようだ。


明日に近づくにつれて、どんどん気分が重くなる。
罪悪感に押しつぶされそうで心が痛い。



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