殺戮都市~バベル~
親愛なるキミに
~一ヶ月後~


「いらっしゃいませー」


私が元の世界に戻って、ひと月が過ぎた。


目覚めると、使い慣れた布団の中にいて……何が起こったのかさっぱり理解出来なかったけど、何となくその理由がわかった。


クイーンとの戦い。


恵梨香を助けようとして、トゲの塊に身体を貫かれた私は即死。


あの街にいた全て人間を生き返らせて、この世界に戻す事は出来ないと言われたけど……恐らく、少年が私を元の世界に戻してくれたに違いない。


いつものようにコンビニで、届いたばかりのお弁当を陳列していると、私の背後から聞いた事のある声が。


「あー、えっと、すみません。ちょっと聞きたい事があるんですけど……」


どこで聞いたかなと、振り返ってみると……そこにいたのは、黒井だった。


少し困ったような笑顔を見せて、胸の辺りまで手を挙げて見せる。


「えっ!?な、何で!?あんた……黒井だよね!?ひっさしぶりー!何でこんな所にいるの!?」


「あ、いや、死神……北条に先週偶然会ってさ、あいつがどこにいるか知らないかーって、俺も人探しを手伝わされてるってわけ。雨村は何か知らないかな?」


北条……恵梨香が探している「あいつ」なんて一人しかいない。
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