殺戮都市~バベル~
荒ぶる獅子
奈央さんをおっさんに任せて、俺と黒井は街の中央部までやって来た。


相変わらずのポーンの群れ。


そして見える、ひときわ大きな化け物……ナイト。


「さてさて、話には聞いていたけど、ナイトとやるのは初めてだな。真治君、大丈夫か?」


「それは奈央さんを失ってって事ですか?だったら心配しないでくださいよ。もっと強くならなきゃ、何も守れないって知りましたから」


バトルガチャで引いた武器を、日本刀の強化に使って、レベルは30に。


身体能力は大して向上しているようには思えない。


これが限界なのか、あるいは……。


「……危険だな。強さを求めて自滅するやつは沢山いる。そうならないようにしてくれよ?」


ランスとソードブレイカーを構えて、臨戦態勢の黒井が肘で俺を突く。


危険も何も、俺は人を守れるだけの力が欲しいだけだ。


「中央部に踏み込んだ瞬間、ナイトは襲って来ます。最初は戦って、隙を突いて逃げますよ。俺は前に全身の骨を砕かれたんですから」


「ひゅうっ。それはそれは。じゃあ……久し振りに本気で戦ってみようかな?遊んで勝てる相手じゃなさそうだし」


……久し振りに、か。


俺と戦った時は本気じゃなかったとわかっていたけど、改めて聞くと悔しく思える。
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