殺戮都市～バベル～
キング
亜美と優が暮らしていた部屋。


俺と恵梨香さんの二人しかいなくなった部屋で、俺はフラフラとソファまで歩いて、それに深く腰を下ろした。


「ん？どうした少年。西軍に戻るのではないのか？こうしている間にも、雪子達は……」


「わかってます。わかってるんですけど……少しだけ、休ませてくれませんか？」


二人を見送るまではしっかりしないと。


そういう気持ちがあったから、ここまではなんとか持ちこたえたのかな。


東軍で、俺がやるべき事が終わって……疲れがどっと押し寄せたような感じだ。


身体はそれほどではないけど、心が。


怒り、悲しみ、絶望、そして安堵。


この街に来て、立て続けに襲われたその感情達について行けなくなったのかな。


こんな事を言ったら、恵梨香さんに「情けない！」と言われそうだ。


だけど……。


「そうか。少年には無理をさせたから、疲れたのだろう。少しくらい休んでも、誰も文句は言うまい」


想像していたのとは違う、優しい言葉を掛けて、俺の隣に腰を下ろした恵梨香さん。


俺が亜美と優にやったように、恵梨香さんの手が、俺の頭を撫でてくれる。


それが心地良くて……俺は、ゆっくり目を閉じた。
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