殺戮都市~バベル~
仲間の為に羅刹は吠える
~東軍・ビルの一室~







『西軍のキングが破壊されました』







亜美と優が暮らしていた部屋、そこで眠りに就いていた俺は、PBMから聞こえたそのアナウンスで目を覚ました。


でも……目の前は真っ暗で、なんだが目から上の部分が暖かい。


……なんだこれ。


暖かくて柔らかい。


手を伸ばしてそれを顔から除けると……暗い部屋が、目に飛び込んで来る。


「えっと、これはまさか……」


何かに挟まれているような感覚から抜け出すようにして、その物体を確認した俺は、慌ててその手を放した。


「わわっ!ご、ごめんなさい!」


俺が押し上げた物は……恵梨香さんの大きな胸だった。


ソファの腕置きにもたれて、眠っている恵梨香さんの。


だ、大丈夫だ……まだ起きてない。


俺が胸を掴んだ事を気付いていないはずだ。


寝起きで俺の身に降り掛かった出来事に混乱しながら、何が起こっていたのかを考えようとしたけど……それどころじゃない。


「え、恵梨香さん!起きてください!なんか、おかしな事になってますよ!」


ブンブンと首を横に振り、恵梨香さんの肩を掴んで揺すった。
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