殺戮都市~バベル~
蝿の王
恵梨香さんが大暴れ、落ち着かせようとした俺と神谷は、殴られ蹴られてボロボロになっていた。


「……取り乱してすまなかった。ちょっとした発作のようなものだ。許してくれ」


シュンとした様子で、小さくなって体育座りをする恵梨香さんに、俺も神谷も何も言えず。


「い、いや。別にかまわねぇ。死んだわけじゃないからな……まさかこんなに手が付けられねえとは思わなかっただけだ」


「お、俺も初めて見ました。こんな恵梨香さん……」


上目遣いでチラチラと俺達を見る恵梨香さん。


大人しくなった姿はなんと言うか……可愛らしいんだけど、暴れたら、神谷の言う通り手が付けられないな。


「まあ、その話は置いといてだ。この後どうするんだ?松田がいるのは90ブロックにある学校だ。そこに行くまでにやつの手下どもが襲って来る危険性は高いぞ」


神谷がテーブルの上にPBMを取り出して、マップを広げて指で示した。


90ブロック……マップで見る限り、この街の一番外側に位置している場所だ。


北軍を本当に縦断しなければならないな。


そこまで、戦闘が一度も発生しないとは考えられないよな。


北軍には強いやつがいっぱいいると聞いたし、気は抜けない。
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