彼の優しさ
急接近?

side 西原 祐


6月の下旬、地域で頭を悩ます出来事が出てきた。

『不審者』情報。

内容は、夜7時頃、習い事の帰りの女子中学生がうろうろしている男性が意味不明な事を言いながら地域を歩いていた、ということだった。

しかも、別の日にその男性に似た人を見たと言っている人が複数居ると言うこと。

警察からは見回りを増やすと言っているが、職員会議で生徒に注意喚起、そして登下校は一人にならないこと、帰宅が遅くなる場合は親御さんになるべくお迎えを頼むこと等呼び掛けて、男性職員も地域の小中学校とも情報を共有して見回りを増やす事になった。

その日は俺と体育科の島原先生の見回り当番の日だった。近くに交通量が多い道を歩く見覚えのある後ろ姿。

「…結城?」

「西原先生、いかがなさいましたか?」俺の呟きが聞こえたのか島原先生は俺の方を見た。

…島原先生は体育科の先生と直ぐ分かるようなガタイの良い先生。…アメフト部の顧問でもある。

「えぇ。…あのライトグレーのパーカーに七分丈のジーンズの人うちの生徒の結城藍です。」

「そうですか。では話し掛けて見ますか。」と島原先生は結城の方へ歩いていった。



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