ハッピーアワーは恋する時間
もう二度と恋はしない!
今夜は「新婚初夜」を記念して、ホテルのジュニアスイートに1泊することになっていた。
2個以上ありそうな枕を使って、フカフカな布団にくるまって、豪華で大きなベッドでイチャイチャしてるのは、私と・・・夫となったばかりの博文さん、のはずだった。

でも私は今、ひとり暮らしをしているマンションのリビングに、母と一緒にいる。
「予備の布団がないからいい」と言ったけど、母は今夜は一緒にいると言い張った・・いや、言ってくれた。

ひとりでも大丈夫。
こんなことくらいで、私はへこたれない。
死のうなんて思わない。

・・・だけど今、母がそばにいてくれてよかった、と思ってる。

今日から私は、「沢田未散」から「中島未散」になるはずだった。
博文さんと結婚して、彼の奥さんになって、彼と私の子どもを生んで、育てて、末永くずっと、一緒に生きていくはずだった。
それなのに・・・。

結婚式の最中に、おなかの大きな彼の愛人が乗り込んできたおかげで、私たちは離婚した。

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