ハッピーアワーは恋する時間
もうお預けはイヤ!
バーベキューグリルから離れた木陰でお肉を食べ終えた私は、少しずつ元気を取り戻すと、思いきって署のみなさんがいる方へ行ってみた。

みなさん全員がグリルの近くにいるわけでもないし、何より私のそばには亜幸さんがいる。
それに、亡き父の元同僚や、元部下だった、見知った方たちにも久しぶりに会えたおかげか、私はすぐにその場に馴染むことができた。

「・・・だからやっぱりさぁ、結局は相性なんだよ」
「そーそー。相性で全て決まるって言っても過言じゃないです。だから最初が肝心なんっすよ」
「確かにそうだな。俺にとって最初の上司だった沢田さんから、刑事のイロハを一から教えてもらったおかげで、俺は刑事になってよかったと思ってるし」
「沢田さんを慕ってる人、多かったよなぁ」

・・・父が亡くなって8年経つけど、いまだに父のことを覚えてくれている人がいる。
父のことを語ってくれる人がいるおかげで、父の想いはまだこの世にあると思えたこと、何より亜幸さんがいまだに父を慕ってくれていることが、私はすごく嬉しかった。

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