【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく

心の中に、入って来るな

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それからの結先輩は、いつも通り過ぎた。

いつものようにに大きな声で笑って、いつものように冗談を言って。

なのに、目が合うと逸らされて。


露李は居間で一人、宿題をしながら考えていた。

自分の力が開花しない限り、結の運命は変わらない。

だからこそ最近身に付いてきた「視る」力を強化しようとして来たのに、それだけでは駄目だと焦りを感じていた。

あの本を手に取ったとき、意識がどこかに浮くのを感じた。

気が付けば暗闇の中にいた

自分の声が響いてきて戸惑っている内に、自分の知らないことを話しているのに驚いた。

目の色が変わり、何かに乗っ取られたように話していたのだと疾風に聞いた。

そして、風花姫や守護者の歴史を知ったのだ。

今まで知りたいとも思わなかった。知ったって無意味だし使命が無くなることもない。

──それが間違いだった。

知ることが大切だったのに。



「…行かなきゃ」


知る手立てはあの書庫だ。

もう一度、あれを見なければ。

立ち上がり、出ようとしてあることを思い出す。

急にいなくなったらまた心配かけちゃうよね。

そう思って書き置きを残し、今度こそ部屋を出た。


『全てを知らなければ』


あの言葉が、また頭に響く。

だが痛みよりも大切なものが露李にはあった。


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