【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく

「どういうこと?」


「普通、弱い力を持つものは強いものに取り込まれてしまう。けど、この魂たちはそうじゃなかった。強いもの、今なら術の中心に集まっていなかった。てことは、身体は元々、異空間に閉じ込められていただけで近くにあったんだ」


「…恐らく、魂の真下だな」


水無月と秋雨の説明に大きく頷く。


「有明様は殺すつもりは無かったのかな…だって、ここに来たときから一切、気は感じなかったもの」


そう言ってからあれ、と引っ掛かるものがあった。


「でも秀水さん…骨かじってたよ」


おぞましい光景だった。

思い出すだけで寒気がする。


「…残酷だが、自分の骨だ。だがあれは扇莉が命じたものではない」


ならば、何故。

己の骨を自ら抜き出し、喰らったと言うのか。

ぞくりと悪寒が走った。

グロテスクどころではない。


「あの不届き者、こわ…」


水無月も顔をしかめて腕をさする。


「自我を失い、あそこまでするに至った。それはきっと、鬼も人間も変わらない」


秋雨は痛ましげに俯き、すまないと呟いた。


露李は何も言わず、考えるような仕草をしてから笑う。


「戻りましょう。皆の所に。戻って、ここを元に戻さなきゃ」


無理をした笑顔に皆言葉も出せず、こくりと頷いた。


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