【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく
距離、運命、誓い。
*********************

ほわほわと次から次へと現れる人々に目を白黒させながら、守護者たちは家屋の修理に励んでいた。


「お疲れさん。大丈夫かー?」


結の労いに、はい、と返事をして後ろを振り返る。


「お前も。水無月」


「貴様に心配される筋合いなどない」


「ったく、可愛げねーなー」


「そんなものこの俺には不要だからな」


結は水無月にわざとらしくため息をついてみせ、ちらりと後ろを見た。

視線のその先には睡蓮、宵菊、星月夜。


「お前ら…」


少し複雑そうに三人を見てから、結は珍しく溜め息をついた。


「まあ、事情は後で聞く。俺たちも露李に報告しなきゃなんねーこといっぱいあるしな。てことで、資材集めんの手伝え」


びゅん、と風を切る音に乗せて近くにあった木材がそれぞれに飛んでくる。

がらがらと落ちてくるそれを戸惑いながらも受け取り、三人は頷いた。

何とも言えない表情で結はくるりと背を向け、歩きだす。

それを見つめていると、睡蓮はふっと手に持った重みが消えたのを感じた。

顔を上げると、露李が木材を抱えていた。


「姫さんっ」


「睡蓮さん、怪我してるから。負わせたのも私たちだけど…」


露李は困った顔で睡蓮の足と星月夜の腕を見、少しうつむいた。

どう接して良いか分からないのが本音だった。

怒りで闘いの場は成り立ったが、戦意も喪失しているし、事情があることが分かっている“元”敵にどうやって言葉をかければ良いのか、途方に暮れていた。


「正直、どうしたら良いか分からないんです。せめて、怪我をした人を労る位の事はさせて下さい」


「いやでも、」


食い下がろうとする睡蓮に水無月がじろりと睨みをきかせる。


「露李の言っていることに反論するなんて百億光年早いよ。黙れ」


そう言ってから露李の持っていた木材の三分の二を抱える。

「露李も疲れてるんだから」


有無を言わせない口調に、露李はまた眉を下げながらもありがとう、と礼を言う。


< 313 / 636 >

この作品をシェア

pagetop