【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく

よく分からない関係性の中で戸惑いが隠せないのはお互い様だ。

結が少し素っ気ない理由も、きっとそこにある。


「皆!」


守護者たちが話している所へ呼び掛ける。

五人が一斉に振り向き、笑顔を浮かべた。


「家の奴等が皆帰って来てるんだ。露李か?」


疾風が不思議そうに周りを見渡しながら尋ねる。


「うん!」


秋雨と水無月の説明をもう一度繰り返し、ねっ、と水無月を振り返って笑う。

水無月は守護者たちには絶対見せないような笑顔でそれに応えた。


「…水無月さぁ、もう少し俺達にもそういう柔らかい対応でも良いと思うんだけど」


文月が苦笑いで突っ込むが、途端に無表情に戻る彼に通じている気配はない。


「貴様らにそんな表情をする必要性を感じないからな、我慢しろ。この俺が優しくするのは大好きな露李だけだ」


案の定、見事な溺愛っぷりである。


「はぁ?別に好きになってくれとか言ってねぇだろ」


「露李ちゃんへのそれだったらすごい引くよねぇ」


文月と理津が、うえっと顔を見合わせた。

と、森の方から叫び声が聞こえてきた。

露李と水無月が身体を強ばらせる。

しかし、露李にはその声に聞き覚えがあった。


「疾風ーっ!!疾風どこだよー!!疾風!!」


「あにぃ…」


無意識なのか、恥ずかしがっていた呼び方で疾風が声の主を小さく呼んだ。


「景真さん!!」


露李が叫ぶと、真反対の方を向いて叫んでいた景真がハッとこちらを向く。

その形相は見たことも無い必死さで、何だか胸が熱くなった。

赤薔薇のような髪を振り乱し、やってくる。


「あ!!姫様!!疾風!!」


「カゲ兄!大丈夫だったんだな!」


「カゲ兄、良かった」


結と文月が声をかけ、息を切らしている景真を落ち着かせた。

景真は嬉しそうに顔を上げ、疾風を抱き締めた。


「あーー!お兄ちゃん心配で死ぬかと思ったよ!」


ありがとう結くんっ、ありがとう文月くんっ、と疾風の肩越しに景真が叫ぶ。

疾風は抱き締められながら固まっていたが、眉を寄せて何かを呟いた。


「え?何?何か言ったの疾風何て言ったの!?」


景真は目を真っ赤にして少し腕を緩める。


「……良かった、あにぃ」


声が震えていた。

< 314 / 636 >

この作品をシェア

pagetop