恋が都合よく落ちてるわけない
偶然
パソコンの電源を入れると、機械のモーターがして、ぼんやりと画面が浮かび上がって来た。


風の音がオフィスの頑丈な窓ガラスを通して微かに感じられる。

集中していた時は、風の音になんか、
まったく気づかなかった。


金曜日の夜とは思えない、
オフィスはとても静かだ。

いつもの金曜日なら、

さっさと仕事を片づけて、

デートに向かう女子社員、

チームの部下を、飲みに誘う上司で、
フロアはにぎやかなはずだ。


私は、映し出された画面に、
「大型、台風」と入力して
検索ボタンを押した。


動画が、ゆっくりと動き出す。
誰もいない、気安さから
頬杖ついて、画面を眺める。


今日の朝、出掛ける時の
青い空を思い出した。

朝、見たときは、夜の天気が
こんなに荒れるとは思わなかった。


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