恋が都合よく落ちてるわけない
恋人

お互いの体を、ぴったりくっつけあっていると、離れがたいなんて思う。

「どうにか離れなくて
いい方法があればいいな」

彼がいう。

仁志…仁志さん
まだ、どう呼ぶか定まってない。

「須田さん…あっ」


彼はそういうとキスをする。彼はもう、
キスをするに私に許可を求めないし、

窒息しそうになるほどキスを続けても、
ごめんと謝ったりしない。


「須田さん、そろそろ服着ないと」
やつぱり須田さんと言ってしまう。


「出かけるのか?」


「そういうわけないじゃないけど、
ご両親が上にいると思って」


「挨拶ならもういいよ。
さっき会ったから」


「どこで?」


「ここで」


私は、飛び起きた。
「ここって、ベッドじゃないの」


「朝早く、うちの親父がここに来た」


「見られた?えっ?ええっ?」
シーツを引っ張って体を隠す。


「布団かけてたから分からないと思うけど、声は聞こえただろう」
須田さんが笑いながら言う。



信じられない。
何で笑えるのよ。


「お父様、なんて言ってたの?」


「何も」


「どうして?」


「俺も、話ができる状態じゃなかったから」
くっくっと笑う。
私の反応を確かめて遊んでるんだ。



「どうしよう。
ふしだらな娘って思われたよ。きっと」



「その心配、いらないよ。親父
やたら嬉しそうにはしゃいでたから。

多少ふしだらぐらいでちょうどいいさ。
でも、勝手に入って来られないように、
鍵かけとかなきゃな…」




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