体から堕ちる恋――それは、愛か否か、
第6章―綾香の母、敦子
綾香の母、敦子は気持ちが浮き立っていた。
おしゃべり好きな教室仲間から、沖田フラワーの息子と他の女性がニュースに出たのを見せられたときにはがっかりしたが、あれはただの間違いだったのだ。そして、いよいよ綾香が彼と結婚間近だと聞いて、敦子の未来までもが明るくなったような気分になっていた。

綾香の結婚式場や新婚旅行先、そして豊かな結婚生活に思いを巡らす。

お式は東京で挙げるわよね。それなら2泊ぐらいして、東京観光でもしようかしら。東京なんて久しぶりだもの。弟の生美さんは有名人だから、もしかして芸能人とかもお式に呼ぶのかしら。豪華な結婚式よねえ、きっと。何を着ようかしら。やっぱり留袖かしら。沖田家に見劣りしないように身支度しなくちゃ。沖田フラワーの御曹司と結婚するなんて、玉の輿よね。私もちょっとしたセレブの仲間入り? うふふ。

あれこれ想像しながら敦子の肉付きのよい頬は、緩みに緩んだ。
< 127 / 324 >

この作品をシェア

pagetop