体から堕ちる恋――それは、愛か否か、
第7章―予期せぬ2人の行方
その夜は確か9回目の勉強会だった。

別れと、新たな関係の始まり――2人の胸にあったのは、真逆の未来と想いだった。

「彼女がいる男とこんな関係を結ぶんじゃなかった」と、美弥は自分の浅はかさを恨んだ。
優がそばにいるだけで心が浮き立つ。触れられれば全身が蜜におおわれたかのようにしっとりと甘くなる。
つまり彼といると幸せで、つまり、つまり、美弥は優に心までも持っていかれてしまったのだ。

優の唇が体を這うたびに、どうしようもない心地よさに声を漏らし、そして切なくなる。
この男はどうして彼女がいるのに、こんなに優しく、熱く、自分を抱くのだろう。
まるで愛しているというように。愛されていると錯覚を覚えるほどに。

これ以上は、もうだめだと思った。
これ以上優といたら、知らない彼女に嫉妬するようになる。

本当に優が愛している、本当の彼女に。
美弥は優の首筋に唇を押し当て、優に見えないように涙を流した。
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