体から堕ちる恋――それは、愛か否か、
第10章 次の季節へ
優の別荘で過ごした後、優からの連絡がぷつりと途絶えたが、美弥は驚かなかった。
最後の夜、浜辺で優は勉強会について何かをしゃべろうとした。
それを美弥がはぐらかした。
美弥は勉強会と称してつないできた関係が終わりに近づいていることを、まだ考えたくなかったのだ。
それはすべてが終わってからでいいと思った。あとまだ1回、会う理由があるのだと思っていたから。
なのに、優からの連絡はない。
中途半端で終わらせるのはなんだか優らしくないと思ったが、もしかしたらあのとき優は、「もうこれで終わりにしよう」というつもりだったのかもしれない。

優の中で、きっと自分との関係はもう終わったのだ。
優は彼女との世界に戻り、美弥は一人に戻る。それだけだ。
最初からそういう約束だったのだと美弥は自分に言い聞かせる。

優に彼女がいることも気にかけないようにして、2人で結んだ期限付きのいびつな関係――けれど想定外の想いが、理性を超えて美弥の胸を刺す。
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