体から堕ちる恋――それは、愛か否か、
第4章 揺れる心模様
8月初旬、夏真っ盛りに突入のフライデーナイト。

目黒で人気のスペインバルの店内は、ほぼカップルで埋まっていた。

そんな中で妙齢の女2人がバカバカ飲んで、バカバカ食べている。

「でね、思い切って断捨離しようと思うの、彼のことも」と、両側のテーブルに座っている男女2人がそろって美弥たちの方振り返るほどのはっきり大きな声で由美が言う。

美弥は飲んでいたレッドのサングリアのグラスをいったんテーブルに置いた。

「なんで?」

「将来のない関係に疲れた」

「もともと離婚してもらおうとは思ってないって言ってなかった?」

「確かに。最初は好きだから付き合えるだけでいいって思ってた」

「でも変わったわけだ」
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