汝は人狼なりや?(※修正中。順を追って公開していきます)
 ふと視線を横にずらせば、いつの間にか臣さんは睨みつけるようにして画面を見つめていて、洋子さんは両手を口に当ててわなわなと震えていた。


「部活からの下校途中に襲われたようで、鋭利なナイフのようなものから人間ではつけられない傷痕が体中にあり、人狼がやったものだと見て調査を続けていく方針です。犯人は未だ逃走しております、人狼に襲われないよう、細心の注意をはらってください」


 じん、ろう……? よりにもよって、風子は人狼に殺された? でも、まさか、そんなことって……。


「えー、次のニュースです」


 衝撃の連続で、頭の整理はまだ終わっていないというのに、思考は追いついてくれないというのに、アナウンサーはもう、別の原稿を読み上げ出していた。

 最初から風子の死なんてなかったと言わんばかりの表情で、態度で、口調で……たんたんと。それが返ってつらくも思うし、やっぱりすべて夢だったのではないかとも思わせる。


「あなた……なんなの? これ……」


 洋子さんの両目からは、とめどなく涙が溢れ出ていた。現実を受け入れられないといった様子で、身体をぶるぶると震わせながら臣さんに問い掛ける。


「俺だって……分からない。未だに信じられない。仕事中に警察から連絡があって、実際に現場に向かって……お前たちに報告しないといけないと思って、帰ってきたんだ。あの身体は……間違いなく風子だった」


 その時のことを思い浮かべながら話しているんどろう、臣さんはとても苦しそうに語った。

 そっか、臣さん、実際に現場に向かって、風子だと思わしき人物を確認のためにも見てきたんだ。さっき言っていた「迎えに来た」っていうのは、僕ら全員で風子のいる場所へ向かうからっていう意味だったのかな。
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